時鳥庵晴耕雨読

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カテゴリ:昆虫( 167 )


2019年 02月 23日

アザミウマ(その6、Adraneothrips russatus)


 Adraneothrips russatus (Haga)(クダアザミウマ科クダアザミウマ亜科)は関東以西の暖帯林の堆葉層に生息する小さいが美しいクダアザミウマだ。この色彩からハレギクダアザミウマという和名で呼ばれることもある。南西諸島、小笠原諸島、中国などにも分布しているが、今のところオスは未発見だ。主に常緑広葉樹林に生息し、個体数は多い。採集にはツルグレン装置を用いれば良いのだが、撮影のために林床の落ち葉をめくって探してみた。体長1.5mm前後と小さいので一苦労した。ちょろちょろ動いてくれないとなかなか見つからないのだ。
 インドから東アジアによく似た種が数種いて、特にインドに産するA. limpidusに極めて良く似るが、前翅に重複刺毛が無いことでかろうじて区別している。
 「明石・神戸の虫 ときどきプランクトン」に掲載されているこちらのクダアザミウマも本種だろう。
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(7DMarkII; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
すべてメスだが、成熟度により多少体色に濃淡の差がある。大きな複眼が印象的な美しいクダアザミウマだ。



by jichouan | 2019-02-23 14:31 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 02月 19日

アザミウマ(その5、Bactrothrips brevitubus)


 Bactrothrips brevitubus Takahashi(クダアザミウマ科オオアザミウマ亜科)は関東以西の暖帯林にもっとも普遍的に生息する。中国や東南アジアからも同種と思われるものが得られている。主にカシ類やシイ類、それにクスノキなどの枯れ葉に生息する。カシ類の枯れ葉からはB. honorisB. pictipesと同時に見られることが多いが、通常本種の個体数がもっとも多い。体側に赤い斑紋をほとんど持たないことや、触角の第3・4節が長いこと、オスの腹部第6節にある角状突起が外側に開き、もっとも長く発達することなどで区別できる。また、体長も、最大で6mmを超えもっとも大きい。しかし、オスの腹部の突起は小型個体では発達せず短いので、それだけでの同定には注意が必要だ。
 Bactrothripsの仲間が枯れ葉に生息するのは、枯れ葉に生じたPestalotia属などの菌類の胞子を餌にしているからだ。種によって好みの枯れ葉の種類が異なるのがどうしてなのかは今のところ分からないが、好みの菌類の種類が違うことは十分考えられる。
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オス。下の個体はやや小さく、腹部の角状突起はあまり発達していない。

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メス。腹部に赤い斑紋はない。

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本種の触角第3・4節はかなり細長い。

(80D; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)


by jichouan | 2019-02-19 15:48 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 02月 14日

アザミウマ(その4、Astrothrips aucubae)


 Astrothrips aucubae Kurosawa(アザミウマ科アミメアザミウマ亜科)は本州、四国、九州に分布し、かなり多くの種類の植物の葉に寄生するが、特にイヌビワやクワなどに多く見られる。海外でもフィリピンなどから記録されている。個体数は多く、結構普通に見つかる。また、ちょこちょこ歩き回るのが多いアザミウマの中では、やや動きが鈍いので、庵主はこの種類を使ってアザミウマ撮影の練習をした。体長は1.2mm前後とかなり小さく、オスは未知。
 このアザミウマの面白いところはその頭部の形だ。背面中央が大きく盛り上がっているのだ。一方向だけから見ているとなかなかその立体的な形状が分からない。そんな時はいくつか複数の方向から眺めれば、その構造を何となく理解できる。今回もちょっと不鮮明だが、頭部を3方向から拡大してみた。頭部の膨らみにルビーのように赤い単眼が見えるのが印象的だ。
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(80D; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)


by jichouan | 2019-02-14 16:18 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 02月 10日

アザミウマ(その3、Bactrothrips honoris)


 Bactrothrips honoris (Bagnall)(クダアザミウマ科オオアザミウマ亜科)はJ. E. A. Lewisが'Kobe'で採集したものが命名記載されたものだ。やはり関東以西の暖帯林に生息し、アカガシなどの枯れ葉に棲む。南西諸島からも知られるし、また台湾からも同種と思われるものが得られている。今回はやはり三浦半島でアカガシの枯れ葉上からB. pictipesと同時に見られた。B. pictipesとは触角の第3-4節がより短く、それらの先端が明瞭に暗色なこと、オスの腹部第6節にある角状突起の形状が異なることなどで区別できる。体長は5mm前後。
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(7DMarkII; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
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(80D; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
一番上がメスで、中央と下がオス


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(80D; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
同じ枯れ葉上にB. honorisのメス(上)とB. pictipesのオス(下)が同時に見られた


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(80D; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
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(7DMarkII; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
上がB. honoris、下がB. pictipes。ともにオスで、触角第3-4節の長さと、それらの先端の色彩に違いが・・・


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(80D; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
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(7DMarkII; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
上がB. honoris、下がB. pictipes。ともにオスで、腹部第6節の角状突起の形状に違いが・・・



by jichouan | 2019-02-10 16:59 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 02月 06日

シリーズ・アザミウマを再開・・・


 ちょうど2年前、当ブログで庵主の専門分野であるアザミウマ類の記事を連載しようと試みたことがあった((その1)は2017年1月11日の記事)。3回掲載したのだが、その後は続かなかった。ちょうどいろんな雑用が舞い込んだのが主な原因だが、庵主の技量不足によってこの小さな昆虫を十分に撮影できなかったことも事実だ。今回、撮りためたアザミウマの写真が少しはたまったので、少しずつ掲載しようと思っている。すでに(その2)Bactrothrips pictipesと(その3)Bactrothrips flectoventrisの記事を掲載したのだが、それは削除することにし、新たに出なおすことにした。なお、(その1)はそのままとし、(その2)からの再開としたい。このような変則的な掲載になったことをお詫びする。また、庵主の低い技量のせいで画像は十分なものといえないかもしれないが、種の同定においては相当正確であると考える。

アザミウマ(その2、Bactrothrips pictipes


 さて、最初に取り上げるのはやはりBactrothrips pictipes Haga & Okajima(クダアザミウマ科オオアザミウマ亜科)だ。この種は主に関東以西の暖帯林に生息し、アカガシなどの枯れ葉に生息するが、今の所南西諸島からは得られていない。アカガシの枯れ葉には同属の別種、B. brevitubusB. honorisなども同時に生息することが多く、その同定は一般の人には案外難しいのだろう。実際にはメス成虫の腹部末端付近にあるBournier器という器官の形状を見れば簡単に同定できるのだが、これを見るためには解剖など結構な技術が必要で一般的にはあまり現実的ではない。だが、庵主の場合は相当数の標本を見てきたので、頭部の形だけでも正確にわかれば同定は可能だ。
 本種は庵主の住む関東では三浦半島あたりの暖帯林で見られる。腹部の両側が赤く美しい。この赤い色彩はB. brevitubusではほとんど見られないが、B. honorisでは同じように見られる。
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(7DMarkII; MP-E 65mm F.2.8 Macro Photo)
一番下の画像がメス、他はオス。オスの腹部第6節には1対の角状突起があるが、メスにはない。



by jichouan | 2019-02-06 21:13 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 02月 02日

時鳥庵の樹液酒場(その10、スジクワガタ)(最終回)


 この種もコクワガタ同様国内では普遍的に見られる種で、個体数も少なくない。コクワガタよりいくぶん小さく、鞘翅の表面には明瞭な縦条が見られるのだが、中・大型のオスではそれが弱まり、コクワガタのそれに似てくる。しかし、大顎の内歯が常に2歯状であることで、区別は容易だ。また、コクワガタの小型オスでは内歯が無くなるのだが、本種では常に小さな内歯を持つ。時鳥庵では灯火にはあまり来ないが、樹液には普通に見られる。
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(D500; AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G )
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(7DMarkII; Macro EF100mm F.2.8 IS)
一番下の個体は小さいオスだ。良く見ると大顎に小さな内歯がある。



by jichouan | 2019-02-02 13:23 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 01月 25日

時鳥庵の樹液酒場(その9、コクワガタ)


 コクワガタはどこにでもいるもっとも普遍的に見られるクワガタムシだが、時鳥庵の灯火にはあまり飛んでこない。だからと言って少ないかというとそうでもなく、樹液などには普通に集まっている。秋には熟したイチジクの果実にも来ていた。成虫で越冬する種類なので、5月ごろから9月ごろまで活動している。
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(OM-D EM-1 Mark II;  M. Zuiko Digital ED 60mm F2.8 Macro)
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(7DMarkII; Macro EF100mm F.2.8 IS)


by jichouan | 2019-01-25 11:38 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 01月 17日

再びニホンホホビロコメツキモドキ・・・


 久しぶりに時鳥庵に行ってきた。庵主は越冬中ではあるが、果樹、主にウメ、モモ、スモモなどの剪定や、温室の水やりのためだ。温室の寒蘭は気温がかなり低くなるので、水を控え冬眠させているのだ。それでも月に一度は水をやりに行かなければならない。この方法でこれまでは何とか維持しているのだ。
 話は変わるが、そのついでに枯れたメダケを少し割ってみた。昨年5月ごろ、多数の成虫を確認したニホンホホビロコメツキモドキの新成虫を確認するためだ。切ったメダケを積んでおいた所(ここで成虫が産卵していた)に行って、何本かを選び割ってみたのだ。ほどなく大きなメス成虫が出てきた。やはり時鳥庵の中で発生していたことが分かった。メスオスも出てきた。いくらか採集してみると太いメダケからは大きな成虫が、細いメダケからは小さな成虫が出てくる。これは餌(うる覚えだが、メダケの内側表面に繁殖した菌類を餌にしているのだと記憶している)の量に関係するのだろう。太いほど餌の量が多いということではないだろうか。それに、成虫がいたメダケの内側に、必ず一か所四角形に角ばったくぼみが穿たれている。これは将来脱出孔になるのだろう。発生期にはまだまだ早いが、すでにその準備をしているのだろう。ちなみに本種の脱出孔も外から見ると四角形なのだ。多くの昆虫は丸い脱出孔を穿つのに、ちょっと変わっていて面白い。これはメダケの筋張った繊維質な材質に関係しているのではあるまいか?
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出てきた大きなメス

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太いメダケから大きなオス

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細いメダケから小さなオス

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メダケの内側に穿たれたくぼみ

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脱出孔は四角い

(OM-D EM-1 Mark II;  M. Zuiko Digital ED 60mm F2.8 Macro)


by jichouan | 2019-01-17 13:45 | 昆虫 | Comments(0)
2019年 01月 10日

時鳥庵の樹液酒場(その8、ノコギリクワガタ)


 時鳥庵でノコギリクワガタは年によって発生数に増減があるようだ。一昨年は結構多く、庵のしょぼい灯火(玄関を照らす、小さな白熱電球)にも良く飛来したのだが、昨年は全く飛来しなかった。樹液にも1♀2♂が来ていただけだった。夜、樹液に来ているところを懐中電灯で照らすと、相当赤く見え、やたら美しいのだ。やはり多いのは6・7月で、8月になると少なくなってしまう。
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(D500; AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G )
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(OM-D EM-1 Mark II;  M. Zuiko Digital ED 60mm F2.8 Macro)


by jichouan | 2019-01-10 17:28 | 昆虫 | Comments(0)
2018年 12月 28日

時鳥庵の樹液酒場(その7、ミヤマクワガタ)


 時鳥庵で一番多く目につくクワガタムシはミヤマクワガタだ。庵の灯火には6月の中頃から飛来し始め、8月にはまったく来なくなる。しかし、樹液では8月の中頃まで見ることができる。また、灯火に飛来するのは6月中頃から7月中頃までが多いのだが、樹液には7月中頃から多く集まるようになる。ただ、年によって少ない年もある。
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(7DMarkII; Macro EF100mm F.2.8 IS)
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(OM-D EM-1 Mark II;  M. Zuiko Digital ED 60mm F2.8 Macro)
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(D500; AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G )


by jichouan | 2018-12-28 16:12 | 昆虫 | Comments(0)